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2025.01.22

南極日記1/10(35)

  • 南極日記1/10(35) 1枚目写真
  • 南極日記1/10(35) 2枚目写真
  • 南極日記1/10(35) 3枚目写真
  • 南極日記1/10(35) 4枚目写真

    昭和基地夏宿舎では、昨日の午後に渇水になり、蛇口をひねっても水が出なくなりました。
    シャワーはおろか手荒いも、歯磨きもできません。
    最近の日本では通常時では、なかなかこういうことはなくなりましたので、気持ちとしては災害時のような感じです。
    今は、ようやく歯磨きや洗顔はできるくらい回復し、1日半ぶりに顔を洗っただけで幸せな気持ちになりました。

    そんな中、午前中、環境保全隊員の仕事に密着取材してきました。

    皆さん、「環境保全」というとどんな仕事をイメージするでしょうか❔

    南極地域観測隊の「環境保全」とは、ゴミの処理や排泄物、生活排水といった汚水処理のことです。
    まずゴミの焼却炉に行きました。生ゴミを炭に、可燃ゴミを灰にします。
    昨日1日で出た生ゴミは150kg程度。これを機械にかけて炭化したことで45kg程度になりました。
    まず一気に脱臭室を高熱にすることで臭いがしなくなり、そこから加熱室や減量室の温度を上げて、八時間くらいで写真のように炭にします。
    この炭はドラム缶に入れ、「しらせ」に積み、日本に持ち帰ります。
    可燃ゴミは灰にし、これも日本に持ち帰ります。
    南極には一切ゴミを残さないことになっているので、燃やせないゴミも大型ゴミもすべて「しらせ」に積んで日本に持ち帰ります。
    さらにゴミを炭や灰にする時も有害物質で大気を汚さないよう、気象庁の隊員に機械を作動するタイミングを確認してから作業します。

     

    次に汚水処理棟に行きました。多分、ここが昭和基地で一番「臭い」場所です。
    人間の排泄物(小便、大便)や生活排水を、自然に返しても害が出ないレベルにまで処理し、海に流します。

    汚水処理は機械がしますが、きちんと処理されているか、それぞれの段階ごとに成分をチェックするのは人間がします。

    もちろん、機械が不調な時は修理もします。

    見ていても大変な仕事ですが、人間が生きていく上では必要不可欠な仕事です。

     

    南極は少ない人数で、生活していくために必要な仕事をこなしているので、社会の縮図です。

    日本にいる時には見えない仕事も、見えてきます。

    ゴミの日に、自宅のゴミをステーションに出すことで、きれいにしたという気持ちになりますが、それはただゴミが移動しただけで、無くなったわけではありません。

    必ず誰かが、それを処理してくれているということを忘れてはいけないと強く思いました。

    お金を払えば済むという考えは、南極では通用しませんが、それは日本でも同じはずです。
    お金を払ってるんだから、やってもらって当たり前という感覚は払拭し、感謝の気持ちをもつこと、また自分は社会にどんな貢献をするのか(できるできないではなく、するかしないかという自己決定が必要)ということを意識する、こういった資質を自分も子どもたちにも身に付けていきたいと思ったところです。

     

    1/10 13:30 昭和基地第1夏宿舎より